リターゲティング計測の仕組みと実践
マーケティング活動において、戦略や目的、またタイミングにより採用すべき施策は異なります。例えば、「ランキング対策ブーストキャンペーン」「新規優良ユーザー獲得UA (User Acquisition)キャンペーン」そして「既存ユーザーARPU(Average Revenue per User)向上リターゲティングキャンペーン」などです。いずれの場合も、企業のROIを最大化させることに繋げることがマーケターにとって最重要課題となります。今日は、ROI最大化に貢献するであろう「リターゲティング広告計測」についてのお話しです。 最近、アプリ広告主様からの「アプリ内データを活用したリエンゲージメント計測は可能でしょうか?」という質問が急激に増えました。また、それと連動するかのように媒体社様から「リエンゲージメント配信のためアプリ内イベント連携を実現させたいです」という要望も増えました。AppsFlyerを使ったリターゲティング広告計測について詳しく解説致しますので、皆様のマーケティング活動のご参考にして頂ければと思います。 この記事では、AppsFlyerでのリターゲティング広告計測について次の項目を解説します。
- リターゲティングコンバージョンの定義
- リターゲティング計測の仕組み
- リアトリビューション計測ロジック
- リエンゲージメント計測ロジック
- リエンゲージメントウィンドウと収益計測ロジック
1) リターゲティングコンバージョンの定義
AppsFlyerでは、リターゲティングコンバージョンとして2種類定義しています。「リアトリビューション」と「リエンゲージメント」です。リアトリビューションとは、「アプリをインストール(初回起動)してから90日以内にリターゲティング広告経由で再インストールしたコンバージョン」です。また、リエンゲージメントとは、「既にアプリを持っているユーザーがリターゲティング広告経由でアプリ起動に至ったコンバージョン」です。 この2種類は、AppsFlyer管理画面で識別可能です。リアトリビューション数にて、離脱ユーザーがどれくらい呼び戻されたか、リエンゲージメント数にて、休眠ユーザーがどれくらい復活したかを評価することに活用できます。 また、「UAキャンペーン」と「リターゲティングキャンペーン」レポートが独立しているため、マーケターはそれぞれの施策を正当に評価することができます。 (例:「オーバービュー」がUAキャンペーン、「リターゲティング」がリターゲティングキャンペーン用) 2) リターゲティング計測の仕組み AppsFlyerでは、デバイスIDまたはディープリンクを使用しリターゲティング計測します。「ディープリンク機能なしでもリターゲティング計測は可能ですか?」という質問がよくあります。答えは、可能です。この場合、デバイスIDを使用しての計測となるため広告クリック時に媒体側からデバイスIDを取得する必要があります。対応済み媒体/ネットワーク最新情報については弊社までお問い合わせください。 3) リアトリビューション計測ロジック 具体的なシナリオと共に、問題形式にてリアトリビューション計測ロジックを解説します。なお、シナリオに登場する「Lookbackウィンドウ」の定義は、「広告接触後、何日以内のコンバージョンを成果とするかという期間」です。 (※注意:Facebookリターゲティング広告の場合、Lookbackウィンドウは28日間(固定)です) 【問題1】 2/5の再インストールはリアトリビューションとして計測されますか?
【問題2】 2/5の再インストールはどの広告経由のリアトリビューションとして計測されますか?
【問題3】 1/5のインストールはリアトリビューションとして計測されますか?
4) リエンゲージメント計測ロジック
リエンゲージメント計測については一点注意事項があります。リエンゲージメントとして計測されるためには、「インストール後3回以上起動していること」かつ「インストール後10分以上経過していること」が条件となります。これは、リエンゲージメント広告が、アプリをインストールし何度か使ってはみたもののその後使わなくなった休眠ユーザー復活を目的としていることが背景にあります。 それでは、具体的なシナリオと共に、問題形式にてリエンゲージメント計測ロジックを解説します。 【問題1】 2/5のアプリ起動はどの広告経由のリエンゲージメントとして計測されますか?
【問題2】 1/31と2/5のアプリ起動はどのように計測されますか
【問題3】 1/31の再インストール、2/5のアプリ起動はどのように計測されますか?
5) リエンゲージメントウィンドウと収益計測ロジック
リターゲティング広告にて獲得(リアトリビューションまたはリエンゲージメント)したユーザーが、その後アプリ内課金した場合、その収益がどこに計上されるかについて解説します。 「リエンゲージメントウィンドウ」の定義ですが、「リターゲティング広告経由で獲得したユーザーによる何日以内の課金をその広告経由の収益とするかを指定する期間」です。デフォルトは30日間ですが、任意で1〜90日間またはLife Time Valueを設定することが可能です。 (※注意:Facebookは30日間(固定)です) 【問題1】 5, 10, 30, 40日目のアプリ内課金は「UA広告A」「リターゲティング広告B」「リターゲティング広告C」にどのように計上されますか?
答え: UA広告A = ¥400 / リターゲティング広告B = ¥0 / リターゲティング広告C = ¥300
(解説: UA広告は新規ユーザー獲得が訴求内容ため、アプリ削除されない限り、獲得ユーザーによるすべての収益が計上されます。リターゲティング広告によるリエンゲージメントの影響は受けません。一方、リターゲティング広告B, Cは訴求内容がリエンゲージメントと同一です。そのため、AppsFlyerがアトリビューションモデルとして採用しているラストタッチモデルが適用されます。このシナリオでは、最終的にリエンゲージメントに貢献したのはリターゲティング広告Cです。よって、その後のアプリ内課金はCのみに計上されます。) 【問題2】 問題1の応用です。5, 10, 30, 40日目のアプリ内課金は「UA広告A」「リターゲティング広告B」「リターゲティング広告C」にどのように計上されますか?
【問題3】 5, 10, 30, 40日目のアプリ内課金は「UA広告A」「リターゲティング広告B」「リターゲティング広告C」にどのように計上されますか?アプリが一度削除されていることに注意してください。
(解説: アプリが削除されると、UA広告及びリターゲティング広告に帰属しません。つまり、アプリ削除後の収益については「オーガニック経由で獲得したユーザーによる収益」として計上されます。) いかがでしたでしょうか?実際の運用では、その他あらゆるシナリオがあると思いますが、これらをベースに応用して頂ければと思います。もし、想定どおりに計測できないなど疑問がございましたら弊社までお気軽にお問い合わせください。