アプリのローンチ:成功のための11のステップ
リリースされたアプリがインストールする価値のあるものなのか、ユーザーはわずか数秒で判断します。毎年何百万ものアプリが発表されており、選択肢に困ることはありません。
自社のアプリに注目が集まるようにするには、モバイルアプリのローンチを最適化する手法をマスターする必要があります。ここでの難題は、どうやってアプリのローンチを成功させるかです。
やるべきことはたくさんあり、しかも、それらを正しく進める必要があります。
自社のモバイルアプリをチャートのトップに押し上げる確実な方法はありませんが、この目標を達成可能にするための一定のステップはあります。
ここでは、モバイルアプリのローンチを成功させて、長期にわたりユーザーを引き付けるための11の重要なステップをご紹介します。
1 – 業界と競合企業について入念に調査する
業界と競合企業の位置付けを知ることは、基本的な第一歩です。
なぜでしょうか?すでに多くの競合が存在する中で、自社の差別化を図り、よくある失敗を繰り返さないようにするには、最も人気のあるアプリを分析することが役立ちます。
同じ分野の主要アプリを特定し、アプリのページやブログ、YouTubeのレビューを見て、以下についてできるだけ多くのインサイトを収集します。
- 競合アプリの機能面での特徴
- 競合アプリでユーザーが最も気に入っている点
- 競合アプリに足りない部分
- 競合企業が自社をどのように位置づけているのか
価格、機能の妥当性、顧客満足度などの要素を比較し、競合企業を把握しましょう。調査は入念に行ってください。ここで詳細に調査するほど、アプリのローンチ後のフェーズでより適切な決断を下すことができます。
どの競合企業も、共通のお客様の関心を獲得するために争っていることを忘れないでください。調査の質がローンチの成功と失敗を左右します。
2 – バイヤーペルソナを理解する
このステップでは、未来のユーザーに焦点を当て、その期待に適切に応えるために何ができるかを考えます。
「このアプリは経営陣向けです」とか、「これは若い人たちが重宝するアプリです」など、基本的な表現だけで十分だった時代は終わりました。今日、ユーザーの注意を引きたいのであれば、自社アプリがどのように役立つかを正確に伝えなければなりません。
手始めに、以下の質問を考えてみましょう。
- ローンチするアプリは、重要な問題を解決したり、繰り返し行われる面倒な作業を簡素化したりするものですか?もしそうであれば、それはどのようなアプリですか?
- ローンチするアプリは、業界内のギャップを埋めたり、業界が抱えている困難を軽減したりするものですか?
- なぜこのギャップを埋める必要があるのでしょうか?ギャップによってどのような問題が生じますか?
- 上記の問題を念頭に置くと、オーディエンスの共感を最も集めるのはどのようなアプリの機能だと思いますか?
回答に基づいてアプリの理想的なユーザーペルソナを作成し、製品の効果を検証して、ユーザーがその効果をどのように受け止めるかを測定します。加えて、ユーザーが好んで利用しているコンテンツ、ブランディング、広告プラットフォームも調べてみましょう。
これにより、理想的なオーディエンスを理解できるとともに、モバイルアプリの正式なローンチに向けて安定した基盤を構築するためのインサイトを得ることができます。
3 – 収益化モデルを選択する
ローンチの前にアプリの価格設定と収益化モデルを選びます。価格戦略はアプリの機能、デザイン、マーケティング戦略に直接影響するため、この選択は重要です。
では、アプリの収益化モデルはどのように選択すればよいのでしょう?正しい選択は、競合アプリ、ターゲット市場、業界の動向など、いくつかの要因に左右されますが、最終的には以下の3つの価格戦略に集約されます。
- 無料:ユーザーはアプリストアからアプリを無料でダウンロードできます。アプリ内広告やアプリ内購入によって後から収益化が可能です。
- 有料:ユーザーはアプリをデバイスにインストールするために料金を支払います。
- フリーミアム:ユーザーはアプリを無料でダウンロードできますが、すべての機能を利用するには月額料金または年会費を支払う必要があります。
より戦略的な価格設定アプローチを採用するために、以下の追加質問について考えてみましょう。
- アプリのランニングコストにはいくらかかりますか?
- この数字をカバーするためには、どの価格でどれだけのダウンロードが必要になりますか?
- 競合アプリと比較して、自社のアプリはどの程度の価値を提供しますか?
- 競合アプリの料金はいくらですか?
価格設定に関する議論と並行して、アップセルやアップグレードとして提供できる機能についても検討しましょう。そうした機能が十分に魅力的であれば、フリーミアムモデルを選ぶこともできます。
4 – ローンチの成功基準を定める
アプリのローンチに関わる計測可能な目標とKPIを設定し、ローンチキャンペーンのパフォーマンスを計測します。
手始めに、アクティブなインストール率、アプリストアでの平均評価、アプリから生み出される総収益などのKPIを使用することができます。インストールあたりのコスト(CPI)、リテンション率、MAU(1ヶ月あたりのアクティブユーザー数)、DAU(1日あたりのアクティブユーザー数)なども、最適化すべき重要なモバイルアプリの指標です。
何を目指すのかを理解し、現実的な目標を設定するためには、業界のベンチマークを見直すことも役立ちます。たとえば、AppsFlyerのパフォーマンスインデックス第15版でモバイルマーケティングエコシステムに関するいくつかの重要なインサイトをご覧いただくと、アプリのローンチ戦略を進めやすくなります。
5 – アプリをローンチするプラットフォームを選択する
アプリをローンチするアプリストアやプラットフォームを選択します。Apple App StoreとGoogle Playの2つは最も人気のある(そして明白な!)選択肢ですが、それだけではありません。GetJarやAmazonアプリストアなど、他のアプリストアを検討することもできます。
AppsFlyerからの重要なヒント:オーディエンステストを行って、ターゲットオーディエンスに最も利用されているアプリストアを選びましょう。
モバイルアプリストアにはそれぞれ独自の規定が定められており、徹底した承認プロセスがあります。ローンチするアプリは、公開前に所定の前提条件を満たしていなければならず、そうでないものは却下されます。そのため、規定について理解し、それらを満たすアプリを準備してください。
専門家によると、初期段階ではアプリストアを1つに絞ることが推奨されています。そうすることでユーザーと評価が集中し、アプリのランクがより早く上がりやすくなります。
6 – アプリの強力なオンラインプレゼンスを構築する
ドメインを購入し、ランディングページを立ち上げ、ソーシャルメディアアカウントを作成することで、アプリの認知度を高め、オーディエンスの興味を喚起します。これによって、アプリのローンチ時に、ユーザーがアプリを見つけやすくなり、インストールもしやすくなります。
ドメイン(www.your_app_name.comなど)を登録し、アプリのランディングページを作成します。このページにアプリの名前と説明を掲載して、メールアラートの購読に登録するためのフォームを追加してください。
これは、リードを獲得するための優れた戦術です。また、登録してもらうことで、ローンチ後に購読ユーザーに働きかけることもできます(もちろん、本人の同意を得たうえで)。
こうしたページは、ローンチの前にも後にもアプリを宣伝できる費用対効果の高いマーケティングチャネルと考えてください。
次に、人気の高いソーシャルメディアプラットフォームでのプレゼンスを確立します。
アプリに最適なソーシャルネットワークは、ターゲットオーディエンスによって異なります。たとえば、ターゲティングの基準が年齢別であれば、該当する年齢層に最も人気のあるソーシャルネットワークを選びましょう。若年層はInstagramを利用している可能性が高く、中年層はFacebookを好む傾向にあります。
ソーシャルメディアアカウントの作成と並行して、別の方法でもターゲットとするオーディエンスに訴求し、認知度を拡大します。企業ページやポップアップ広告を作成し、広告キャンペーンを開始することで、ローンチ前に一定の人々の関心を集めておくことをお勧めします。
7 – ベータ版またはソフトローンチを計画してレビューを収集する
人々は、ローンチされるアプリが自分たちの生活に本当の価値をもたらすかどうかを知りたいと思っています。レビューや証言を早めに集めると、社会的な証明となり、アプリを試してみたいという気持ちが喚起されます。
このようなレビューを集める最も簡単な方法が、ベータテストです。
ベータ版はアプリの最終版に近いもので、選ばれた少数のテスターだけが利用できます。アプリが「実社会」でどのような機能を果たすかを把握できるため、ローンチ直前に発生した問題を解決しやすくなり、リリース後に比較的バグのない体験をユーザーに提供できます。
この機会を利用して、クラウドソーシングで品質保証を実施し、すべての機能が整っているかどうかをテストしましょう。手始めに、UIデザインが明確かどうか、ユーザーがアプリを簡単に操作できるかどうか、コンバージョンに至るまでにどれくらいの時間が必要かなどをチェックできます。
AppleもGoogleも、アプリ開発者にベータテストを計画することを奨励しており、そのプロセス全体について以下のような手順ガイドを作成しています。
ベータテストを成功させる鍵は、適切なテスターを集め、量より質を目指すことです。ターゲットグループを詳しく知るほど、洗練されたアプリを完成させるためのより多くのインサイトが得られます。そしてそのためには、膨大な数のテスターが必要なわけではなく、関連性のあるテスターが数人いれば十分です。
8 – アプリストア用の素材を作成して最適化する
アプリストアの素材には、スクリーンショット、アプリのプレビュー、画像、アプリのプロモーションビデオ、ルーティングアプリのカバレッジファイルなど、アプリのストーリーを伝えるためにデザインされたものを使用できます。
潜在的なユーザーは、アプリストアの素材を閲覧してアプリの機能を把握し、インストールする価値があるかどうかを判断します。また、これらの素材をソーシャルメディアやランディングページのコンテンツなど、他のマーケティング活動にも活用することで、オーディエンスの興味を喚起し、コンバージョンを高めることができます。
ビジュアル素材だけでなく、アプリのメッセージと説明もターゲットユーザーに響く言葉を使って固定してください。
ここでは、アプリストア最適化(ASO)も重要になります。
ASOは、App StoreやGoogle Playのようなアプリマーケットプレイスでの、アプリの認知度や訴求力を高めることを目的としたマーケティング手法の1つです。検索エンジン最適化(SEO)と同様、キーボードと高品質の画像を使って、アプリストアでのアプリのランクアップを支援するものです。
では、なぜASOに注目すべきなのでしょう?
これは重要なポイントです。
スマートフォンユーザーは通常、新しいアプリを見つけるのにアプリストアを利用しています。ユーザーがアプリを説明するときによく使う用語を追加してリスティングページを最適化すると、アプリがアプリストアで見つけられやすくなります。
また、ASOがコンバージョン率を高める費用対効果の高い方法であることも利点の1つです。
iOS App StoreもGoogle Play Storeも同様のランキング変数を使用しているため、もう一方のプラットフォームでアプリをローンチする際に余計な作業をする必要はありません。
AppsFlyerからの重要なヒント:アプリ名にキーワードを入れると検索順位アップに効果的ですが、常にそれが可能であるとは限りません。このようなときは、単にブランド名だけを使い、その後に、キーワードに焦点を当てた説明文を追加しましょう。たとえば、「Uber – 配車の依頼」や「DoorDash – フードデリバリー」といった形式を使用します。
9 – アプリの強力なローンチ戦略を立てる
アプリの強力なローンチ戦略は、アプリをより成功させるために重要な役割を果たします。ここでの主な目的は、オウンドメディア、アーンドメディア、ペイドメディアを通じてアプリを宣伝し、エンゲージメントを高めることです。
- オウンドメディア:Webサイトやランディングページなど、自社が所有し管理しているプラットフォームを指します。
- アーンドメディア:自社のアプリや企業ブランドに関する情報を、第三者が公開する場合を指します。たとえば、GoogleやYelpでのレビューや、アプリの機能についてのブログ記事などです。
- ペイドメディア:料金を支払ってオーディエンスにリーチするためのメディアです。アプリの認知度を広めるためにインフルエンサーに報酬を支払ったり、ディスプレイ広告やコマーシャルを出したりすることなどが該当します。
ローンチするモバイルアプリの使い方を明確に説明する、適切なコンテンツを作成しましょう。たとえば、ブログ記事、ソーシャルメディアコンテンツ、Webサイトのコピー、メールマーケティングのコピー、プレスリリースなどです。また、ジャーナリストやブロガーに接触してそれぞれのプラットフォームでアプリを宣伝してもらう際には、プレスキットを用意しておく必要があります。
プレスキットには通常、以下の内容が含まれています。
- アプリのグラフィックとクリエイティブ
- アプリの簡単な説明
- Webサイトやソーシャルメディアアカウントへのリンク
- 連絡先情報
オーガニックにエンゲージメントを構築する道筋をつけたら、FacebookやInstagramのような人気のあるオンラインプラットフォームで有料のターゲット広告を手配する必要があります。
こうした広告から、閲覧者がモバイルアプリの登録Webサイトへと誘導されることもあれば、アプリのローンチ後には、閲覧者がアプリのダウンロードページに直行してスマートフォンにアプリをインストールする場合もあります。
3つのメディアタイプ(オウンド、アーンド、ペイド)すべてを利用する必要はありませんが、この3つのアプローチはアプリの強力なオンラインプレゼンスを構築するのに有効です。こうしてアプリの認知度を高めることが、最終的に収益の増加へとつながります。
10 – 成功を計測するために必要なソフトウェアを特定して統合する
大々的なローンチの前の最後のステップは、分析ツールやソフトウェアを既存のシステムに統合することです。これにより、事前に特定した成功基準に照らし合わせてモバイルアプリのローンチを追跡できるようになります。
プッシュプロバイダーに登録し、アプリの効果的なマーケティング、拡張、およびローンチ後のメンテナンスに必要なその他のソフトウェアを実装します。また、質の高い顧客フィードバックを収集して製品ロードマップに反映させるために、技術スタックにアプリ内フィードバックソフトウェアを追加することも忘れないでください。
11 – ローンチ!アプリをアプリストアに提出する
いよいよアプリをユーザーに公開するときが来ました!
選択したアプリストアで適用されるガイドラインをすべて満たしていることを確認し、アプリを公開します。安全策として、正式リリースの数週間前にアプリを投稿することもできます。
アプリの公開についてアプリストアからのゴーサインが出たら、メール購読者、プレスリスト、インフルエンサーにリリースを通知しましょう。また、購読者のロイヤリティと関心に感謝を示すために、プロモーションコードや特別価格、その他のインセンティブを提供することもできます。
以降は、フィードバックとアプリストアのランキングを監視することに力を注ぎます。
ユーザーにレビューを残してもらうことで、バグを迅速に特定して修正できると同時に、フィードバックを集めて満足度を計測できます。また、割引やアカウントのアップグレードを提供して、さらにユーザーを誘引することもできます。
アプリの評価は製品の成功を左右します。アプリの露出を最大限に増やして4つ星以上の評価を獲得できるよう、ランキング要因の改善に注力することで、息の長いアプリへと成長させることができます。
重要なポイント
- 競合企業や業界の入念な調査を行うことで、自社のモバイルアプリに注目を集めるための効果的な方法を特定し、コストのかかる失敗を避けることができます。収集したインサイトは、ローンチ後により適切な意思決定を下すためにも役立ちます。
- 価格戦略は、競合アプリ、ターゲットオーディエンス、業界の動向に基づいて構築する必要があります。収益化モデルは無料、有料、フリーミアムから選択できます。
- どのアプリストアにも独自の規定があります。こうした規定を認識して、ローンチするアプリを確実に準拠させることは、アプリ開発者の責任です。
- ベータテストは、ローンチプロセスの早い段階でユーザーレビューや体験談を収集する最も効果的な方法であり、これをきっかけとして他のユーザーにアプリの使用を促すことができます。また、問題を特定し、解決して、バグを取り除くことで、エンドユーザーにポジティブなアプリ体験を提供することができます。
- スクリーンショット、プロモーションビデオ、レビューといったアプリストア用の素材は、ユーザーの興味を喚起し、コンバージョンを高めるのに役立ちます。アプリストア最適化(ASO)のベストプラクティスに従ってコンテンツを作成することも、アプリストアでアプリを上位表示させるために有効です。
- モバイルアプリのローンチ戦略としては、オウンドメディア(自社が所有し管理するプラットフォーム)、アーンドメディア(第三者によって公開される情報)、ペイドメディア(有料広告)を組み合わせてアプリのマーケティング活動を強化すると効果的です。
- アプリのレビューや評価は、フィードバックを集めてユーザーの満足度を計測するうえで重要です。ユーザーに評価やフィードバックの投稿を促す目的で、特別価格やプロモーションコードを提供することもできます。