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プライバシーが重視される今、ROAS(広告費用対効果)計測が困難な理由:検討したい3つのアプローチ

執筆者 Dubi Furie
プライバシーが重視される今、ROAS(広告費回収率)計測が困難な理由

特にiOS 14.5リリース以降、ROAS(広告費用対効果)の計測が広告主にとって困難なタスクとなり、ROASは今やモバイルマーケティング計測における究極の目標となっています。

計算そのものはシンプルです。ただ、値を求める際はコストを集計した結果をアトリビューションや収益とマッチングさせる工程があり、このマッチング作業が近年ますます複雑化しています。

本ブログでは、ROAS(広告費用対効果)に関する問題点を明らかにし、解決に導くさまざまなソリューションを紹介します。では、さっそく見ていきましょう。

プライバシーが重視される今、ROAS(広告費用対効果)の計測が困難を極める理由

アドネットワーク全体に散らばるデータを処理するため、コストとアトリビューションデータのマッチングは広告主にとって常に大きな課題です。

マーケターは通常複数のアドネットワークと契約しますが、こうしたアドネットワークは独自のデータスキームやビジネスルール、ビジネスモデル、データ更新頻度をもとにを運用しています。これまではアドネットワーク全体が統一されていなかったため、コストデータを標準化してアトリビューションと結合させる作業は困難をきたしていました。

Apple iOS 14.5とATTフレームワークのリリース後、SKAdNetwork(SKAN)、プライバシー中心のアトリビューションweb-to-app(英語)など複数のアトリビューションが派生した結果、データの断片化が進みました。複数のアトリビューションが並立するという新たな課題が生まれています。

新形態のアトリビューションが誕生したことによって生じた問題点

1- 1つのアドネットワーク内で粒度が異なるコストとアトリビューションのデータが存在します。

一例を挙げると、アドネットワークAはキャンペーン別、アドセット別、広告別、国別で集計した支出額のレポートを作成します。しかし、粒度の異なる2種類のアトリビューションを採用しています。1つはSKAdNetwork(SKAN)、もう1つは非SKAdNetwork(SKAN)のアトリビューションです。SKAdNetwork(SKAN)アトリビューションでは、レポート階層をキャンペーンレベルで設定しています。

残りのキャンペーンでコストのレポートを作成する際も、このレポート階層を使用します。 達成したい目標や最適化したい分野に応じて、データを適切な粒度で結合させる必要があります。

場合によっては同一のデータを2回保存し、別の用途で使用することもあります。計測パートナーの数を増やすと、こうした調整作業を繰り返し行う必要が生じます。もうすでにお気づきかと思いますが、これは決してシンプルなタスクではありません。

2 – データの精度 – eCPI(実質的なCPI)(英語)とROASは、新たな環境では100%正確な値を期待できません。また、こうした指標が正確に計測されないと、キャンペーンの最適化が図れず、新たな予算もチャネルに投入できません。

こうした値が真の値から逸脱するという問題が生じるのは、SKAdNetwork(SKAN)と非SKAdNetwork(SKAN)のアトリビューションメソッドでインストールが重複するためです。また、コストはSKAdNetwork(SKAN)に(キャンペーンがキャンペーンとして)認識されずにレポートが作成されています。

そのためSKAdNetwork(SKAN)アトリビューションレポートでは数値を確認し、非SKAdNetwork(SKAN)のレポートではまた別の要素を確認するという、二度手間が生じています。どちらのレポートを信頼するべきでしょう?理想的な解決策はありません。ROAS(広告費用対効果)とeCPI(実質的なCPI)はどちらも重要なKPIであり、問題をさらに複雑化させています。

こうした問題を解決に導くアプローチ

データに関する問題に対処する手段はいくつかありますが、どのアプローチにも長所と短所があります。

アプローチ1:人力処理

キャンペーンを最適化するたびにアドネットワークの管理画面からレポートをダウンロードし、スプレッドシートに出力した後、人力でマッチングさせます。

長所

  • 低コストのソリューション
  • だれでもできる

短所

  • 平均的なマーケターは労働時間の3分の1を反復タスクに投じているとの調査結果(英語)が出ています。
  • 手作業はエラーを起こしやすいため、データの精度への信頼性が常に疑問視されています。正確さを欠く間違ったデータ(英語記事)による意志決定は判断ミスを起こしやすくなります。

アプローチ2:プログラムを使った人力処理

パートナーのAPIと接続する手段を自作し、データを結合させてアトリビューションデータに取り込みます。

長所

  • 手作業の手間が省ける
  • マーケティング活動が拡大するにつれ、データの規模が大きくなる
  • 全データが手に入るため、柔軟性の高さでは最善策であり、大規模なチームでの運用に適している。このソリューションを採用すると、データを引き出すタイミング、データの粒度、フォーマット、アトリビューションとのマッチング基準などを判断できる

短所

  • マーケティング業務が分散化される。 マーケティングの主幹業務ではないデータ集約化の成果物作成に労力が集中してしまう
  • 高コスト。APIとアドネットワークの統合環境の作成と維持はリソース集約的な業務であり、クラウドの運用コスト、システムをサポートするエンジニアチームの人件費の支払いが発生します。
  • データが複雑であるため、データの割り出しに時間を要します。具体的な例を示すと、キャンペーン名を変更すると、コストとアトリビューションのマッチングが成立しないケースが生じることがあります。他と同様、このシナリオに対応するには最高水準の精度が要求されます。
  • また、新規パートナーを導入する場合は、パートナーの連携作業が完了するまで中断を余儀なくされる

アプローチ3:コスト集約化ソフトウェアの導入

サードパーティーのソフトウェアを使用して、コストを集約し、社内のBIシステムでアトリビューションのマッチングを図る作業をプログラムで実行します。

長所

  • 手作業の手間が省ける
  • 拡張性が高い
  • コスト集約化ソフトウェアは専門性が高い
  • 新規パートナーを採用する際も、要件はしかるべき形でカバーされる

短所

  • 本来の業務から外れる
  • 複雑である。 2つのソース(コストとアトリビューション)からデータを取得し、BIシステムにデータを投入するスケジュールを立て、さまざまな粒度のデータを管理するなどの作業を正確にこなす必要がある
  • コスト集約型である。このオプションを選んだ場合、アトリビューションベンダーとコスト集約ベンダーへの支払いのほか、社内BIシステムのデータ管理用として指定されたクラウドの維持費を負担する必要が生じる

当社のROAS(広告費用対効果)とeCPI(実質的なCPI)はどうなる?

ROAS(広告費用対効果)とeCPI(実質的なCPI)の場合、SKAdNetwork(SKAN)や非SKAdNetwork(SKAN)のインストールデータは自身で複製できません。複製はアドネットワークでもできません。アトリビューションパートナーがデータを複製しない限り、仮に上述したオプションのどれを採用しようとも、eCPI(実質的なCPI)もROAS(広告費用対効果)の精度は低いままです。

SKAdNetwork(SKAN)データが匿名化されているために生じる問題です。広告主がAppleから取得するポストバック(英語)には、アトリビューションの詳細とコンバージョン値のみが含まれています。言い方を変えると、Appleのプライバシーを重視する仕様変更の結果、ポストバックを特定のユーザーとリンクできなくなり、ポストバック送出時にランダムな遅延が発生しているのです。

そのため、同じイベントが複数のアトリビューションメソッドと紐づけされているかを判断できなくなっています。

コストとアトリビューションの連携強化

そしてもう1つ、MMP(モバイル計測パートナー)(英語)と連携するソリューションがあります。この場合、アトリビューションパートナーがSKAdNetwork(SKAN)と非SKAdNetwork(SKAN)のアトリビューション取得と同時にコストのマッチングも行います。

ネットワークAの例に戻りましょう。この例では、SKAdNetwork(SKAN)のコストデータはキャンペーン別、アドセット別、広告別、国別で、非SKAdNetwork(SKAN)のデータはチャネル別で入手しています。この場合、アトリビューションパートナーは、コストデータを目標に応じた適切なデータ粒度で、SKAdNetwork(SKAN)にも、非SKAdNetwork(SKAN)のデータにも結合できます。

この作業を可能にするのが、AppsFlyerのXpendです。高度なシステムの構築や手作業によるデータの取り込み、アトリビューションデータのマッチングといった作業に追われることなく、コストをデータ分析用管理画面で一元管理できるほか、アトリビューションデータと紐づけられたコストデータをCost ETL経由でBIシステムに直接転送できます。

Measuring ROAS in a privacy-centric world: Aggregated performance report

こんな疑問が頭に浮かんだかもしれません。では、インストールデータを複製し、正確なROAS(広告費用対効果)データを得るにはどうすればいいのだろう。 AppsFlyerは先ごろ、重複するインストールを広告主側で複製できる業界初のソリューション、Single Source of Truth(SSOT)(英語)を発表しました。

当社データによると、インストールデータの35%が重複してレポートされており、マーケティング計測精度を落とす結果以外のなにものでもありません。XpendはSKAdNetwork(SKAN)コストをさまざまなデータ粒度で提示できるため、ユーザーは安心して状況に合ったデータ分析を開始できます。

つまり、SKAdNetwork(SKAN)データ、オーガニックインストール、非SKAdNetwork(SKAN)の指標でデータをとらえられるため、コスト、ROAS(広告費用対効果)、eCPIの計測とともに、正確なインストール数も把握できます。データに翻弄されるのではなく、正確なデータを根拠とした意志決定でビジネスの最適化を図ることに集中できます。

Measuring ROAS in a privacy-centric world: iOS sources including SKAN

まとめ

これまで見てきたように、iOS 14.5以降の環境でROAS(広告費用対効果)やeCPI(実質的なCPI)を計測するのは決して容易なタスクではありません。主に次の要因が考えられます。

  1. アドネットワーク全体のデータ、SKAdNetwork(SKAN)と非SKAdNetwork(SKAN)のアトリビューションデータの断片化
  2. 正確性を欠くコストデータ

Tこうした問題を解決するアプローチは複数ありますが、正確なデータを細かい粒度で、しかもタイミングを逃さず提供できる単独のプラットフォームに任せることをおすすめします。

AppsFlyerのXpendについてより詳しくはこちらをお読みください

Dubi Furie

DubiはSaaS製品で10年以上にわたる豊富な経験があり、イノベーション、ビジネス、テクノロジーの専門知識を兼ねそろえたスキルの持ち主です。現在、AppsFlyerのコスト集約ソリューションであるXpend製品マネジメントチームのリードを務めています。
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