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SKAN 4.0をもっとシンプルに:新バージョンを使いこなすための5つの論点

執筆者 Roi Tamir
SKAN 4.0 changes features

SKAdNetwork(SKAN) 4.0は、広告主にとってより使い勝手の良いものでしょうか?それとも、さらに複雑になったものと思いますか?

WWDC 2022でのSKANの発表により、モバイルマーケティング業界は分断を経験しました。SKAN 4.0になり機能は充実してきていますが、今までマーケティングに成功していた広告主でさえ、これらの新しい機能をどのように活用すべきかを理解するのに苦労しています。

SKAN 4.0は工夫することで、様々な方法で活用することができます。AppsFlyerが提案する活用方法は、様々な調査と、多くのお客様やパートナーのご意見に基づいています。引き続き、広告主や広告ネットワークがSKAN 4.0の新しい機能を最大限に利用できるように取り組み、新しい業界のスタンダードを作っていきます。

先日の投稿では弊社のRoy Yanaiが、SKAN 4.0に付随する主な変更点と、広告主がどのようにマーケティング施策に利用できるかを説明しています。この投稿では、AppsFlyerがSKAN 4.0をサポートし、どのようにシンプルに使えるように工夫しているかについて説明いたします。

1. 1つだったコンバージョン値が合計4つに!

SKAN 4.0では新しく、粗い粒度のコンバージョン値が導入されています。広告主はユーザーのアプリ内アクティビティを低・中・高の3通りに分類することができます。これを利用することにより、少なくとも一部のアトリビューションデータを、中レベルのクラウド匿名性で受け取ることができるようになります。 

SKAN 3.0 以下では、コンバージョン値の設定には、6ビット(64通り)分の値しか設定できない制限がありました。ただし、SKAN 4.0 では、粗い粒度のコンバージョン値が追加されるため、広告主はここに新しい計測指標を追加できます。

細かい粒度のコンバージョン値は、最初のポストバックでのみ送信されますが、粗い粒度のコンバージョン値は、3つのポストバックすべてで送信される可能性があります。 

SKAN 4.0の利点を最大限に活用するために、広告主が4つの異なるコンバージョン値定義を設定できるようにします。また、これらのスキーマがAppsFlyer管理画面のConversion Studio上で簡単に設定できるようになります。

2. 各計測ウィンドウに独自の設定を適用

3つの計測ウィンドウすべての粗い粒度のコンバージョン値に対して、同一の定義を割り当てるのも一つのやり方ですが、それぞれの計測ウィンドウに独自の定義を設定できるようにしました。 

これは、各計測ウィンドウが異なるタイミング(インストール後 0-2日目、3-7日目、8-35日目)を表し、時間が進むにつれてユーザーの行動が変化することを考慮したものです。 


同一の定義を各計測ウィンドウに使ってしまうと、たとえば収益を計測する場合は、インストール後2日目と35日目で、同一の収益の範囲で計測する必要でてきてしまいます。あるいは、もし7日目(2番目の計測ウィンドウ) にのみ発生するサブスクリプションのイベントを計測したい場合、最初と最後のウィンドウでも同じサブスクリプションのイベントを定義する必要が出てきます。これは無駄な定義になってしまいます。

3. LockWindowとコンバージョン値

SKAN 4.0では、Appleが「LockWindow」という新しい機能を導入しました。広告主はコンバージョン値の更新を早めに凍結することで、より早いタイミングでポストバックを受け取ることができるようになりました。 

たとえば、アプリ開発者は、2回目のポストバックの計測ウィンドウをインストール後3日から7日の間でロックできます。

ただし、LockWindowの制約の一つは、このロックが機能するためには、ユーザがアプリを起動している必要があるということです。たとえば、広告主が5日目に計測ウィンドウをロックするように設定していたとしても、ユーザーが6日目だけにアプリを起動した場合、そのロックは6日目に初めて発動します。また、粗い粒度のコンバージョン値がこれ以上更新できない「高」になった場合には、広告主がすぐに計測ウィンドウをロックできるようにすることにしました。 

4. 3つのポストバックの情報をSKANオーバービューに反映

現在、SKANオーバービューには、単一のポストバックに基づくSKANキャンペーンパフォーマンスデータのみが含まれています。 

SKAN 4.0では、各計測ウィンドウのパフォーマンス指標の内訳と、3つのすべてポストバック分の累積データがレポートに含まれるようになります。 

私たちは、SKANレポートにこのような柔軟性を提供することで、お客様がキャンペーンをより適切に最適化し、分析できるようになると考えています。

5. SKAN 4.0への移行

以前のバージョンアップの際と同様に、SKAN 4.0への移行も一夜にして行われるわけではありません。  

我々のデータによれば、SKAN 3.0の適用率が50%に達するまでには半年を要しました。

SKAN 4.0ポストバックは、以下の条件が満たされている場合にのみサポートされます。

  • アドネットワークが、配信面の広告でSKAN 4.0に対応した広告署名を生成していること
  • 広告主のアプリがiOSバージョン16.1以降のデバイスで実行されていること
  • 広告主のアプリが iOS 16.1 SDK以降でビルドされていること

AppsFlyerのConversion Studio 経由でSKAN 4.0 に移行することを選択したお客様は、継続的なサポートを受けることになります。移行については、この中で対応いたします。 

SKAN 3.0以前のバージョンで広告署名されている場合は、引き続き、必要なロジックを適用するようにします。そのためデータの欠損は起こりません。

アドネットワークはSKAN 4.0をどのようにサポートしていますか?

以前のバージョンのSKANでは、キャンペーンIDは2桁の数字に制限されていました。これは、アドネットワークが0から99の間の最大でも100通りの広告しか割り当てることができないことを意味していました。 

SKAN 4.0では、キャンペーンIDの名前が「ソースID」に変更され、4 桁(最大10,000通り)が含まれています。お客様からよくある質問の一つは、「アドネットワークはどのように新しいソースIDを計測に利用するつもりなのか?」というものです。

2022年7月に、Match Group、Supercell、Liftoffの代表者と共に、業界関係者向けのSKAN 4.0ウェビナー(英語版)を実施しました。この中で4桁のソースIDの話題と、アドネットワークが追加の2桁分が提供する情報を利用するための計画を紹介していました。 

Liftoffの製品責任者、Matt Ellinwood氏は次のように述べています。「コホートの活用を再認識する一つの機会になっています。問題は、広告主にとって実際にどのような指標でコホートを作ることにより、パフォーマンスを評価できるのかということです。現在のSKANで失われてしまった、意味のある情報を取り戻しうる指標は何でしょうか?」 

今のところ、これらの変化をどう活用するのかについては、アドネットワーク間での整合性は取れていないように見受けます。ただ多くのアドネットワークではロケーション(地域)とクリエイティブを計測するために追加の桁数を使う利用する予定のようです。 

いずれにしても、これらのデータポイントをサポートするために、AppsFlyerではパートナー連携の更新も随時行う予定です。

未来をこっそり覗く

確かにSKAN 4.0は大きなバージョンアップですが、LTVのパフォーマンス計測を制限するものであることに変わりはありません。そのため、SKAN 4.0の基本的な機能を提供するだけでなく、現在のAppsFlyerのソリューションの機能を拡張することで、SKANの限界にも引き続き取り組んでいきます。

Single Source of Truth(SSOT)のお客様は、2番目と3番目の計測ウィンドウからのデータを含めたAppsFlyerとSKANの計測指標を集計した結果を取得できます。 

SSOTによりすでに7日目の収益計測を行なっている場合には、たとえば、粗い粒度のコンバージョン値を使用してイベントやリテンションを計測しながら、顧客は収益も計測することができます。 

ただし、2番目の計測ウィンドウで収益を計測することを決定した場合でも、SKANから取得する追加データを使用してパフォーマンスレポートを充足させることができます。 

それだけではありません。粗い粒度のコンバージョン値は、インストール後のユーザーアクティビティの大まかな概算値を示すことができますが、やはり細かい粒度のコンバージョン値が提供する情報には見劣りします。そこで現在提供しているNullコンバージョン値推定と同様に、粗い粒度のコンバージョン値の実測値から、細かい粒度としての値を推定できる機能を提供予定です。 

引き続きアップデートを続けていきますので、続報にご期待ください。

Roi Tamir

マーケティングと分析の分野で約10年の経験を持つRoiは、ビジネス、マーケティング、関連するソリューションの専門知識を兼ね備えています。現在、AppsFlyerのiOSプロダクトの一部を担当しています。

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