数十億円のブラックボックスをテストしましょう
2年前、AppleがiOS 14を発表し、様々な変更を加えた際に、SKAdNetworkがiOSのアトリビューションメソッドとして再登場し、広告業界を震撼させました。
最も衝撃的だったのは、エコシステムの中で誰も異議を唱えなかったことです(そして、これまでそのことに真摯に取り組んでこなかった)。また、SKANの性質上、本当に正常に動作しているかどうかを確認する方法はありません。
Appleは、広告主が信頼を寄せることができる最高の相手ですが、数十億ドル相当の広告予算となると、業界は特に確信を持って臨みたいと考えていました。AppsFlyerを含め、多くの関係者がSKANがまだ足りない部分(英語)や改善すべき点を指摘しましたが、誰も “機能するのか?”と平然と問うことはなかったのです。
アトリビューション・プロバイダーとして、データの完全性と正確性を保つことは、お客様に対する私たちのコミットメントです。第三者のデータソースへの依存は、私たちが軽んじているものではありません。
広告主はiOSのキャンペーンに何百万ドルも費やし続けています。一部の広告主はマーケティング戦略を変更しましたが、全体として、iOS広告の世界は回り続けています。実際、2022年にはIDマッチング率が10%上昇(英語)し、非オーガニックインストール数全体の26%に達しています(SKAN含む)。また、SKANのインストール率は2021年6月から2022年1月にかけて3.5倍に急増し、その後さらに10%伸びています。
幸いなことに、SKAdNetworkは進化を遂げ、アプリ開発者にふさわしいアトリビューションソリューションに近づきつつあります。今このSKAN 4.0への旅立ちのときに、ついに問いかけるときが来たのかもしれません。SKANの持つ多くの制約を考慮しても、SKANのアトリビューションはどの程度正確なのでしょうか?
ネタバレ:要するに、インストールのアトリビューションに関して言えば、SKAN は期待通りに機能するということです。SKANは、シンプルなユーザー獲得フローにおいて、信頼性が高く、正確なアトリビューションメソッドです。はっきりさせましょう:SKAdNetworkは、v4.0になって改善されたとはいえ、まだまだ足りないのです。フルカバーのiOSモバイルアトリビューションソリューションとまではいきません。しかし、少なくとも、iOSのユーザー獲得キャンペーンにおいて正確な「クリックからのインストール」のアトリビューションを提供するという点では、広告主は安心して利用することができます。
ブラックボックスの一片を放つ
SKANの内部と外部は、インストール・アトリビューションに限らず、SKANのパズルの多くの部分はまだテストされておらず、業界にとって透明性がありません。これには、再インストールと再アトリビューションの計測方法、アンインストールの場合のアトリビューションロジック、間接的なクリックからダウンロードへの流れ、ルックバックウィンドウロジック、クロスデバイスアトリビューションなどが含まれます(ただし、これらに限定されるものではありません)。
しかし、SKANがカバーすると言っている主なユースケース、クリックからインストールへのダイレクトフローに取り組むことは、私たちがテストできることなのです。誰もこれが簡単だとは言っていません。
新しいiOSの現実には、データの整合性検証を難しくしているいくつかの複雑な問題があります。
1. App-to-appのフロー
SKAN v3.0 以下はアプリ間フローにのみ適用されます。つまり、ユーザーはアプリ内の広告を表示し、広告をクリックしてから、広告されたアプリをダウンロードする必要があります。このフローがAppleにどの程度アトリビューションしているかをテストするためには、2つのアプリ(広告が表示されたアプリとダウンロードされたアプリ)、ネットワーク、そして表示される広告を完全にコントロールすることが必要です。
2. IDマッチング
データの整合性をテストする最も正確な方法は、Appleがレポート(計測)したインストール数と、AppsFlyerが正常に検出したアプリの起動数を比較することです。これを決定論的に行うためには、IDマッチングが必要です。iOS 14.5+では、デフォルトでIDFAを取得できません。しかし、ユーザージャーニーが、あるアプリから別のアプリに移動し、両方とも同じベンダーが所有している場合、IDFVを使用してマッチングを行うことが可能です。
3. SKANポストバック
SKANのポストバックは広告ネットワークに送信され、広告主がそれを受信するエンドポイントを事前に定義していれば、ポストバックコピーを広告主に送信することができます(iOS 15以降で利用可能)。ポストバックが失われないようにするために、両方のポストバックのタイプを検証しました。また、ポストバックはインストール後に遅れて送信されるため、データの取り込みに時間がかかり、検証に時間がかかることがあります。
調査方法
ゴール:
Apple SKANのポストバック数と、IDマッチングによるアトリビューションで計測したインストール数を比較します。
設定:
自社のテスト用アドネットワーク、パブリッシャーアプリ、ターゲットアプリ(ダウンロードされるアプリ)を使って、iOSのキャンペーンフローを作成しました。
方法:
2022年9月にクラウドテストを開始し、iOS端末を所持するユーザーにパブリッシャーアプリをダウンロードしてもらい、アプリ内広告をクリックした後、対象アプリをダウンロードしてもらうというキャンペーンを実施しました。全部で380人が参加に興味を示し、203人が10日以内にフローを完了しました。これにより、テストに必要な十分な数のコホートサイズを確保することができました。
検証:
SKANアトリビューションはサードパーティのデータソースであるため、結果の検証は非常に重要でした。アトリビューションプロバイダー、アプリ所有者、アドネットワークとして、Appleから受け取ったSKANポストバックのSKAdNetworkアトリビューション計測数と、AppsFlyer IDのマッチングアトリビューションによるインストール数の計測を比較することができました。
結果:
Appleから受け取ったSKANのポストバックと、AppsFlyerがIDマッチングで実施したアトリビューションは100%一致しました。つまり、SKAdNetworkのアトリビューションは、100%正確で成功したのです。
アトリビューションデータの信頼度の検証
お客様を大切にするサービスプロバイダーとして、お客様が安心してデータの完全性を確保できるようにすることは非常に重要でした。
新しいプライバシー時代においてデータの可視性が低下し続ける中、広告主は自信を持って意思決定を行う必要があり、それはMMPに対する信頼から始まります。
データソースが難読化または部分化する、さらに複雑な未来に向かって、AppsFlyerは、広告主がエンドユーザーのプライバシーを保護しながら、データソースに自信を持ち続けることができるよう、テストを続けていきます。