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Android向けプライバシーサンドボックスの導入に向けて:マーケターに求められる次のステップ

執筆者 Talia Rona
Android Privacy Sandbox is coming. What should marketers do next_ OG

2022年2月、GoogleがAndroidにおけるユーザープライバシーの強化計画を発表し、多くのマーケターの注目を集めました。AppleのApp Tracking Transparency(ATT)がもたらした衝撃に続き、Androidは一体何をしようとしており、それが企業にどのような影響を与えるかについて、誰もが大きな関心を寄せています。 

Google Advertising ID(GAID)が実際に廃止されるのは2024年ですが、世界中のマーケターの生活が一変することを考えると、このニュースに騒然とするのも当然と言えるでしょう。

プライバシーサンドボックスに向けた準備に役立てていただけるよう、AppsFlyerでは、この取り組みによる主な変更点とニューノーマルの基本事項をまとめました。ここに記載されている情報は、Googleチームとの緊密な連携、関連ドキュメントの詳細な検討、およびソリューションの実地テストにもとづいています。では、始めましょう。

GAIDの廃止:Androidにおけるユーザーレベルのインサイトの終焉

プライバシーサンドボックスの基本事項として、現在、GAIDが主にどのように利用されているかを確認しましょう。 

  1. アトリビューション:GAIDは、マーケターがキャンペーンの効果を計測し、ユーザージャーニーを理解するのに役立ちます。
  2. オーディエンス管理:GAIDは、マーケターがリマーケティングキャンペーンをパーソナライズする際に役立ちます。 
  3. サードパーティのデータの共有:  GAIDを使用すると、アドネットワークでペルソナグラフを作成し、ペルソナごとに最適な広告を割り当てることができます。

GAIDが「どのように」利用されているかを理解したところで、GAIDの主な利用者は「誰」なのかを見極め、GAIDが廃止されるにあたり、何をどのように変える必要があるかを特定しましょう。

目標対象者
計測MMP、マーケター
リマーケティングマーケター、アドネットワーク、MMP
ターゲティングアドネットワーク

GAIDの使用状況を確認すると、上記の表が示すように、GAIDの廃止は、マーケターの現在の計測とリマーケティング活動に大きな影響を与えることがわかります。これらの分野に焦点を当て、どのような準備が必要かを考えましょう。

計測 

計測と分析に関しては、慌てる必要はありません。GAIDの廃止は、マーケティング計測の終わりを告げるものではありません。 

今のところ、Androidの主要なアトリビューション手法の1つであるGoogle Playインストールリファラを廃止する計画は発表されていません。ビジネス継続性に関しては、これが重要な意味を持っています。現在、AndroidにおけるAppsFlyerのインストールアトリビューションの29%は、Google Playリファラ経由で行われています。 

プライバシーサンドボックスへの準備として、現在のデータがどのようなものか調べることをお勧めします。AppsFlyerのローデータレポートに表示されるフィールドの1つに<match_type>があります。<match_type>フィールドでは、現在のインストールのうち、「Google Playリファラ」アトリビューションを使用している件数を確認できます。このシンプルなデータクエリにより、アトリビューション計測が大きく変更された場合の懸念を和らげることができます。 

Google Playインストールリファラが重要であるにもかかわらず、現在、計測活動の大部分でGAIDが基盤となり、土台となっていることは否定できません。 

マーケターがGAIDを使用せずにアトリビューション分析を継続できるようにするため、プライバシーサンドボックスには、Attribution APIのリリースに伴い新しいキャンペーン計測手法が導入されます。このAPIは2種類のレポート(イベントレベルのレポートと集計レポート)に対応しています。これらのレポートは、次のように、それぞれ異なるメリットとインサイトを提供します。

イベントレベルのレポート

イベントレベルのレポートには、インストールおよびインストール後のイベントの限定的な計測が示されます。このレポートはクリックIDレベルなので、アドネットワークは、掲載された広告の正確なシグナルを得ることができます。ただし、エンドユーザーのプライバシーを保護するため、ビュースルーアトリビューションでは最低1日、クリックスルーアトリビューションでは最低2日の遅延が発生し、ソースごとに最大3件のポストバックがアトリビューションされます。一見、サンドボックスが提供するポストバックと、SKANが提供するポストバックを比較すると良さそうですが、サンドボックスを深く理解すると、これらのポストバックはその性質も使い方も異なることがわかります。現在のところ、イベントレベルのレポートは、最適化を目的として利用するアドネットワークにとっては大きなインパクトがあるものの、マーケターは十分なインサイトが得られません。

集計レポート

集計レポートには、キャンペーン名、日付、広告セット、地域、クリエイティブなど、キャンペーンの詳細なディメンションが含まれるため、マーケターはより詳細なインサイトが得られます。集計レポートに含まれるキャンペーンディメンションの詳細は、ネットワーク、MMP、および広告主が定義します。集計レポートを構成するポストバックは、同じ日に送信されます。集計レポートでは、インストールおよびインストール後のLTVを確認し、キャンペーンの学習に役立つ実用的なインサイトが得られます。 

集計レポートとイベントレベルのレポートはいずれもクロスネットワークアトリビューションを提供し、クロスネットワークのラストクリックアトリビューションMMPとのみ共有されます。
マーケターは最大30日間のルックバック期間を設定できます。ただし、アドネットワークごとに設定する必要があるため、この作業をマーケター自身で行うのは非常に困難です。MMPを使用すると、ルックバック期間の設定を効率化できます。MMPはアドネットワークと直接連携し、調整することで、手間のかかるこの作業に対応します。 

こうしたメリットの一方、マイナス面もあります。マーケターにとって、データの重複排除がこれまで以上に複雑になってしまいます。これは、Attribution APIが集約され、広告主側のユーザーレベルデータが提供されないことに起因しています。そのため、Google Playインストールリファラから受け取った分析結果とこのデータを統合することができません。  

この課題を克服するため、AppsFlyerは信頼できる唯一の情報源メカニズムを取り入れ、アトリビューションデータの重複を排除すると同時に、インサイトによってデータを強化します。

リマーケティング

今日のリマーケティングはGAIDの使用に大きく依存しています。多くのマーケターは、ユーザーの嗜好、関心、アプリの利用状況に基づいてオーディエンスを定義し、GAIDのリストを生成してリマーケティングキャンペーンを実施しています。来たるべきGAIDの廃止を踏まえ、GoogleはFLEDGE(現在はProtected Audience APIに名称変更)を発表しました。これはプライバシーを重視し、(データをサーバーに送信しない)オンデバイスのオーディエンス管理・広告配信ソリューションです。

マーケターの場合

マーケターにとって、FLEDGEがもたらす変化は状況によって異なります。たとえば、AppsFlyerのAudiencesツールを使用してい広告主様は大きな変化を感じないでしょう。AppsFlyer内でのオーディエンス作成はFLEDGEの変更に対応しているため、どのアドネットワークも、各マーケターの設定に基づいて広告をパーソナライズできます。

一方、独自のBI内でオーディエンスを作成している場合は、少し大変かもしれません。ユーザーリストを作成し、それをさまざまなパートナーに送信するのはもはや不可能です。 

では、どうすればよいのでしょうか。いくつかの方法があります。

  1. FLEDGEを管理する。FLEDGEを使用する場合でも、オーディエンスを作成し、特定のアドネットワークによるターゲティングが可能として「タグ付け」することができます。ただし、この連携をさまざまなパートナーに伝える必要があります。たとえば、「add-to-cart-did-not-purchase」のオーディエンスを作成し、それをDSPに割り当てることは可能ですが、(データを送受信するには)そのDSPと連携する必要があります。
  2. MMPと連携する。AppsFlyerはすでに、さまざまなパートナーを通じてFLEDGEを可能にするための連携を構築しており、ポストGAID時代のオーディエンス管理をサポートすると共に、パーソナライズされたリマーケティングを促進します。

アドネットワークの場合

マーケターが感じる変化に加え、FLEDGEは、主に2つの面でアドネットワークにも多くの変化をもたらします。

  1. オーディエンスの定義:FLEDGEの現在の仕組みでは、ユーザーをオーディエンスに追加したり、オーディエンスから削除したりするには、FLEDGEと通信できるSDKを広告主のアプリに導入する必要があります。アドネットワークは、MMPのサポートを得て連携を構築し、オーディエンス構築機能を有効にする必要があります。 
  1. オーディエンスに属するユーザーへの入札:オーディエンスの構築以外でのFLEDGEの主な目的は、プライバシー重視の入札ソリューションでアドネットワークを支援することです。FLEDGEは、SSPとDSPの間でオンデバイスの入札交換を実現します。アドネットワークは、もっともコスト効率に優れた方法で、適切な広告が適切なユーザーに確実に配信されるように、それぞれの入札戦略とソリューションを適応させる必要があります。 

AppsFlyerは、現在のソリューションにとどまらず、プライバシー重視のインサイトを促進するというさらに高いビジョンに向け、アドネットワーク側でのオーディエンス作成を容易にすることで広告エコシステムをサポートしています。前述のように、FLEDGEはオンデバイスソリューションであり、オーディエンスを作成するにはオンデバイスプレゼンス(SDK)が必要です。AppsFlyerは専用の連携を通じて、あらゆるアドネットワークによるオーディエンスの構築を容易にします。

ターゲティング

アドネットワークのターゲティング機能に欠かせない主な入力の1つに、サードパーティのデータがあります。つまり、app.game.comが「user123」の利用データをアドネットワークに送信した場合、アドネットワークはそのデータを使用して、別のゲームアプリの広告でも「user123」をターゲットにすることができます。 

ユーザーレベルのデータに基づくクロスアプリターゲティングという考え方は、Googleが抑制しようとしている手法の重要な部分です。ポストGAID時代には、アドネットワークのターゲティング能力に大きな影響を与えると予想されます。アドネットワークにとっての朗報は、状況に応じた広告配信を可能にする以下のようなソリューションがあることです。

  1. Topics:Googleが提案するソリューションの1つとして、クロスアプリマーケティングに役立つTopicsがあります。Topicsはオンデバイスソリューションです。ユーザーのプライバシーを保護すると同時に、クロスアプリターゲティングシグナルを許可するように設計されています。アドネットワークはTopicsを導入し、Topicsに基づいて最適化する必要があります。
  2. Attribution APIのシグナル:前述のように、Attribution APIの主な機能の1つはイベントレベルのレポートです。このレポートは、ユーザーレベルのデータに基づく限られた数のポストバックを提供します。たとえば、アドネットワークは、「click-id123」が広告対象アプリでアイテムを購入したことを把握できますが、エンドユーザーのプライバシーを保護するため、これらのレポートには遅延が生じます。

サンドボックスの到来は、厳しい冬の始まりではありません

変化は恐ろしいものです。事実、プライバシーサンドボックスは大きな変化をもたらしますが、Androidが取り入れようとしている変化は、「ユーザーレベルデータへの依存」から「プライバシー重視のアプローチ」へと、エコシステムを正しい方向へ導くものです。 

今日からGAIDの廃止に備えるため、ユーザーレベルデータへの依存を軽減し、集約されたインサイトの受け入れと利用を開始することをお勧めします。 

最後に、この進化するフレームワークについて引き続き学習し、「冬」を快適に過ごすための準備をしましょう。Googleではさまざまなドキュメントを提供しています。またAppsFlyerは、いつもどおりあらゆる質問にお答えし、新しい変化に事前に対応できるようサポートいたします。

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