Clover、プライバシー重視の時代に対応するためにSKAdNetworkを活用

Success story client: Clover

背景

2014年に設立したClover(クローバー)は、全世界にユーザー数が900万人以上いる恋人・友だち作りなど出会いを求める人のためのマッチングアプリです。いまのZ世代・ミレニアル世代は前世代とは異なり、自分のペースで婚活を進め、結婚するタイミングもひと昔前と比べて自由に選べる時代になりました。それでもCloverのような手軽に使えるマッチングアプリを出会いの場として活用しています。サブスクモデルを採用しているCloverの場合、ユーザーを課金ユーザーに転換してROIを計測することがアプリの成功のカギを握ります。優良ユーザー獲得に狙いを定めるために、Snapchat、Facebook、TikTokなどの大手ソーシャルメディアでマーケティング活動をおこなっており、1日または週ごとにキャンペーンのパフォーマンスを分析しながら、UAの最適化を図っています。UAに関するデータやチームを社内に抱えている大きな理由のひとつです。

課題

AppleがiOS 14のリリース時に紹介したApp Tracking Transparency (ATT) フレームワーク(ユーザーに対して端末をトラッキングする許可を求めるもの)がiOSユーザーの獲得に支障をきたすことは、Cloverもほかの広告主同様に感じていました。IDFA(ユーザーのエンゲージメントとリマーケティングを計測するための広告識別子)が取得できなくなると、これまでIDFAに依存していたUA戦略を早急に見直し、かつ同じUA獲得率を保つ方法を見出す必要がありました。

Cloverの戦略はいかにすばやく無料ユーザーを有料会員に転換するかにありますが、これが実現するには少なくとも数週間~数か月かかることがあります。Cloverの場合、インストール後のイベントではなく、インストールの最適化を図ることに重点を置いているものの、インストール後のイベントがその後のサブスク収益にどのような影響があるかを把握することが重要でした。ユーザーがアプリをインストールしてから一定期間内に無料トライアルに申し込んだことを把握できれば、そのユーザーが有料会員に転換するというある程度の確信が持てます。Cloverはこのようにしてインストール後のイベントの傾向をすみやかにキャッチすることがサブスクのパフォーマンスを測るバロメーターとなり、インストールのクオリティを分析してマーケティング予算を戦略的に配分することができました。

iOS 14によってもたらされた新しいルールは、SKAdNetworkを再度紹介することになり、IDFAの取得が制限されたことによってCloverはSKAdNetworkの使用を余儀なくされました。SKAdNetworkはユーザーのプライバシー保護を強化しながら、アトリビューション計測をおこないます。プライバシーを守る一環としてSKAdNetworkではユーザー個人または端末が特定されないように、ポストバックをリアルタイムで送ることはせず、アプリがインストールされてから24時間以上の時間差をつけて、ポストバックを送信します。SKAdNetworkの24時間タイマーは、ユーザーがアプリをインストールすると発動する仕組みです。

広告主はタイマーを延長するためのイベントをいくつか設定できます(例:アプリが起動するたびにタイマーをリセットする)。ただし、設定したイベントが24時間タイマーが切れる前に発生しなかった場合、コンバージョン値はロックされ、ポストバックが送信されます。例をあげて説明すると、ユーザーが24時間タイマーの制限時間内に無料トライアルに申し込み、その後しばらく時間が経過してから会員登録をおこなった場合、このユーザーは無料トライアルに申し込んだ記録だけが永久に残ります。SKAdNetworkのタイマー機能によって、インストールから24時間を過ぎたイベントの計測が困難になり、Cloverもインストールのクオリティを分析する手段に制約がかかりました。

ソリューション

CloverはAppsFlyerのSKAdNetworkソリューションを導入しました。AppsFlyerのSDK、インフラ、プラットフォームをまとめることで、Appleの新しいプライバシーポリシーに従いながら、可能な限りたくさんのデータインサイトを維持するためのソリューションです。SKAdNetworkはIDFAを取得しません。そのため、ATTポップアップの許可・拒否の応答にかかわらずキャンペーンの効果計測が可能です。ATTポップアップを通じてIDFAを取得できた場合は、AppsFlyerの決定論アトリビューションを使って広告の効果計測ができます。さらに、AppsFlyerが提供しているSKAdNetworkダッシュボードではROI(投資利益率)、CPI、ROAS(広告費用対効果)などの主要なKPIを可視化しているため、Cloverはこれを利用してデータドリブンな意思決定を実現。当初CloverはSnapchatを通じてAppsFlyerのSKAdNetworkソリューションと連携しており、時間も手間も省けるいたって簡単な設定方法で利用できます。FacebookやTikTokと連携する前に、SnapchatでSKAdNetworkを試して最適化することができました。

効果

AppsFlyerを通じてSKAdNetworkを導入したことによって、ライバルに先駆けてプライバシーに配慮したアトリビューション計測がどういったものか事前に体験して準備を進めることができました。また、前もってポストバックの遅延や集約された計測データに対応できたことで、Appleが本格的にプライバシーを強化する前に、時間に余裕をもって方針や戦略を立て直すことに成功。

IDFAを取得しないSKAdNetworkの活用にシフトチェンジしたことは、当初想定したほど目標達成に大きな影響はなく、大半の主要目標はAppsFlyerのソリューションを利用することで継続的に成し遂げられています。これからパフォーマンスにどういった変化があらわれるのかしばらく待つ必要がありますが、AppleがATTフレームワークを義務化する前に準備万端の体制を整えておくことができました。

ユーザーレベルのデータを取得できなくなったことは、我々モバイルマーケターにとっていちばん大きな変化ではありましたが、AppsFlyerのSKAdNetworkソリューションのおかげで、問題なくスムーズにプライバシー重視のアトリビューション計測に移行することができました。

Natasha Upal – VP of Growth

Background
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